会長コラム“展望”

ソーシャル・ネットワーキング・サービス

2011/04/01

個人的価値観


別に嫌いなわけではないのだが、機会が無いためか普段は映画などめったに見ない生活をしている。

しかし、先般公開された「ソーシャル・ネットワー ク」は最近話題のフェイスブック創業時のストーリーを描いたものだというので、気になって出掛けてみた。ちなみにソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS)は、 社会的ネットワークを インターネット上で構築するサービスの事である。


SNSといえば、以前であればミクシィのことを指してい た時期があった。筆者もその草創期にアカウントを取ってサイトを眺めてみた。

しかし、どうやって利用するのかがさっぱり分からない。結局、ミクシィとの縁 は切れたままだ。その後、グリーが話題になったがこれはゲームが中心のSNSと聞いていたので、自分には関係ないだろうと思い無視をした。

次に話題になっ たのはツイッターだ。これなど初めて見たときは驚いた。「渋谷なう(いま渋谷にいます、という意味らしい)」などと書き込まれているのだが、そんなことに 何の意味があるのかチンプンカンプンだった。それでも、情報を扱う企業の代表者なのだからやらなくてはいけないと思い、時々くだらない事を書き込んではい るが、ツイッターって何のためにやるの?という疑問はいまだに解けずにいる。

ということで、SNSにはことごとくなじめずに今日まで来たのだが、 フェイスブックについては何となく気になっていたので、映画でも見れば理解が深まるのかなと思ったのが、冒頭の話題である。映画の内容はとてもシンプルな もので、テーマはおそらく大切なものはお金では買えないということと理解したが、結局SNS自体を理解するには役立たなかった。

さて、そんな中で 今年に入って国際情勢で大きな事件が起こった。チュニジアの政権転覆である。長期独裁政権による腐敗やインフレ、失業率の高まりが国民の不満になってい た。このことが革命を引き起こした直接的な理由だが、おそらくはそのような情報──つまり現政権の圧政や腐敗が国民の暮らし向きを悪くしている原因である ということ──を伝え、この情報を国民に広く知らしめ、この状況を打開するためにはどのような行動を取るべきか、について指針を示した最大の功労者はまさ にSNSであった。その流れはエジプトに続き、こちらも長期にわたって君臨したムバラク政権をあっという間に瓦解させた。そして今も、近隣のいくつかの国 でも同様の動きが続いている。中でも世界有数の産油国であるリビアなどは、独裁者が武力で押さえつけようと躍起になっていて、このことが国際経済に不安を 投げかけている。

この段になって、SNSって何だろうと真剣に考えた。

それは、情報をそこに価値を見出す人に伝え、そのような人と人との結び付き をサポートし促進させるものであるのだが、そのパワーはリアルな結びつきとは比較にならないほどの爆発力を持っているものであるということだ。

さらに、情報は多くの人によってふるいにかけられるし、例えばフェイスブックなどは実名が原則だから価値のないものや虚偽のもの、作為的なものは見破られ抹殺される。

この恐るべきメディア=SNSはこれからの社会を大きく変える。いま筆者は真剣にそう考えている。

北朝鮮やミャンマーでは情報機器やネットイ ンフラが普及してないが、中国はそうではない。情報統制に躍起になっても、そのような仕事をさせられている人だって普通の国民だ。時間は掛かっても必ず変わるのだろう。国家体制だけではなく、ビジネスも同様に変わる。嘘や偽りの情報は必ず見破られ、ビジネスとして存続の余地がなくなる。

いっぽう、社会の共感を得たビジネスはSNSというてこを使って大きく発展するだろう。

多少誇張気味だが、筆者はそのように考えていて、最近は関連するセミナーに行きまくっている。皆さんもぜひ考えてみてはいかがだろうか。

最後に、ここまでSNSという一般化された名称を使ってきたが、これは現時点ではフェイスブックを指していることも付け加えておこう。


株式会社鎌倉新書

代表取締役社長 清水祐孝