鎌倉新書は、人と人とのつながりを感じる場面づくりの
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会長コラム“展望”

個人的価値観 2014.11.28

創業者から学んだこと

 去る11月3日、弊社(鎌倉新書)の創業者であり、本誌の発行人でもある清水憲二が81歳にて永眠いたしました。
 誌面を拝借してご報告を申し上げますと共に、読者・取引先の皆さまには生前のご厚誼に深く御礼申し上げます。

 創業者は30数年の長きにわたり、社長、会長、相談役として会社の発展に貢献し続けて参りました。これを読んでいただいている皆さま、あるいはお取引をさせていただいている皆さまとの出会い、ご縁も創業者の功績なくしては語ることが出来ません。改めて申し上げるまでもありませんが、私は創業者の息子であり、現在の鎌倉新書の代表者であります。そこで本稿では、創業者あるいは父親から学び得たことを、これを読んでいただいている皆さまと共有させていただけたらと思います。
 もう11年も昔のことになりますが、2003年の年頭にあたって、父親から得た気づきを本誌に書かせていただいたことがあります。多くの読者の方々から、感想や励ましのご連絡をいただいたので、何となく感慨深い拙文であります。少し恥ずかしい気がしますが、改めて掲載させていただきます。

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新しい時代に向けて〜後継者の方々へ (「仏事」2003年1月号)

 新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。
 さて、日本経済の危機的状況は年を追うごとに緊迫度を増しておりますが、未だ解決の糸口が見出せない段階にあるようです。当然、消費の低迷も相変わらずという状態の中で「仏事」を取り巻く業界も全般的な低迷を余儀なくされているというのが実情でしょう。そんな中で、われわれは新しい年にどのように行動するべきなのでしょうか。どのように顧客を集め、売上・利益を確保するのか、どのように付加価値の高い商品・サービスを提供するのか、あるいは、どのようなものに投資を行い、人材をどう育成するのか、等々経営者の悩みは尽きません。弊誌ではこのようなビジネスに直結する有益な情報を今後とも提供して参りたいと考えておりますが、このことは別の機会に譲ることにして、年頭にあたり「仏事」に関連する業界に身を置く皆さまのご参考になればと思い、鎌倉新書と私の家族の暴露話を聞いていただけたらと思います。

 鎌倉新書は昭和50年代の後半に経営危機に陥りました。ある書籍の制作に過大な時間と投資を敢行したことが直接のきっかけであったと聞いています。その後、経営陣の一人であった父親がオーナーとなり、負債の一部を現在の鎌倉新書に移し再スタートすることになりました。小生が入社したのはそれから数年が経ったころです。入社した後で売上高より借金の多い事実を知って大いに驚いたことを記憶しています(もっとも、売上高に対してどの程度の借金が適正かは当時勉強不足の若造には知る由もなかったのですが)。
 こんなところで書くのも恥ずかしいのですが、父親は人柄が良く、雑誌や単行本の販売を行う傍ら、業界内の皆さんにさまざまな情報を提供していました。まあ、業界誌は便利屋みたいなところがありますから。しかしながら、商売は決して上手なほうではありません。当然、再スタート時に背負った負債はほとんど減ることはありません。そんな中で私は自分の置かれた境遇を恨めしく思いながら、負債の削減を進めようと努力してきました(つもりです)。そのために、対象顧客の業界を広げ、商品を増やすなどの施策を講じ、周囲の皆さんの力を借りながら苦しみもがいた結果(ちょっと大げさですが)、約10年かかりましたが、なんとか負債を返済するまでに至りました。今日では皆さまのようなすばらしいお客さまのお陰で、人並みな会社として経営を維持することが出来ています。

 さて、私は入社してまもなく商品・サービスの企画から、外注先との折衝、人の採用にいたるまでほとんどの業務を中心となって手がけていましたから、今日に至る売上は自分が創出し、借金は自分の力で返済した、と思っていました。そして、立派な経営を行いご子息を後継者とすべく教育している方と自らの父親を比較して、「なぜもっと(経営者として)立派な父親に恵まれなかったのだろう、立派な父親であったなら会社はもっと発展していたはずだ」などと考えるありさまでした。しかしながら、良く考えてみれば父がのんびりとしていたお陰で、私はさまざまなビジネスの勉強をしなくてはならなかったし、負債があったおかげで、「何とか早く返さなくては」とさまざまなアイデアが浮かんだわけです。
 仮に父が立派な経営者で順風満帆な企業を引き継いでいたならば、私はその性格からいっても、何も考えずにそれまでと同じ商品、同じサービスを提供しながら漫然と日々を過ごしていた、に違いありません。もしそうであれば、今日のような変化の激しい時代に対応できず倒産の憂き目にあっていたかも知れません。

 そのように考えると「自分が作ったと思っていた売上も、自分が返したと思っていた負債もすべて父親の所業である」ということがわかったのです。自分はとんでもない思い上がりをしていたわけで、こんな当たり前のことに気づくのに、10年もの歳月を要したわけです。そういえば辺りを見渡してみると、会社を大きく発展させた2代目が、その父である創業者の徳を最大限称えているというケースは業界の内外を問わず良く見受けられます。私などとは異なり、センスの良い経営者はそんなことは当たり前のように体得しているのです。
 反対に、立派な経営者の跡を継いだ後継者が、経営者としての苦労を経験することができずに、時代の変化、経営環境の変化に対応できずに苦境に陥る、というのも良くあるケースです。2代目が会社を潰すなどというのはこのことです。

 後継者の皆さん! 皆さんはそれぞれ最高の環境に身を置かれ、等しくチャンスを得ているのです。厳しい時代だからこそ、新しい発想が生まれますし、古い体質の業界だから、革新する企業には大きなチャンスがあります。持てる者には持てる者の強みがあり、持たざるものには持たざるものの強みがあるのです。そのような発想を持ち、行動することが企業の発展、そして社会の発展につながるのではないでしょうか。
 年頭からくだらない事例で恐縮ですが、参考になればと思い恥をしのんで書いてみました。本年も皆さまの企業のご繁栄をお祈りすると共に、今後とも弊社をご愛顧賜りますよう衷心よりお願い申し上げます。
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 なぜこのようなことを考えたのかは分かりませんが、さまざまな本を読んだり、高名な経営者の話を聞きに行ったりする中でそう思ったのでしょう。今から考えると、書いている当時の自分にとっては大きな気づきであり、考え方の転換点だったのだと思います。そして、ここに書かれている気づきは今でも間違ってはいないと思います。だけど、この後10年生きてみて、ちょっと違うなと考えるようになりました。

 それは、頭で考えることと、心の底から思えることには大きな差があるということです。私は、自分にいろいろな経験の機会を与えてくれた父親に対して感謝の気持ちを持つことが大切であると、頭の中で理解はしたけれども、心からそう思える人間には全く至っていないのです。これは私のテキトーな解釈ですが、心から感謝の気持ちを持つ人が100点だとすると、自分の力だと思っていた以前の自分は0点、そして頭の中で理解するに至っても点数にすると僅か5点ぐらいに過ぎないと思うのです。
 ということは、残りの人生の課題は、頭で理解したことと、心からそう思えることのギャップを少しずつ埋めていくようにすること、となるわけです。もちろん死ぬまでに100点に到達するわけではありません。5点でも10点でもプラスして人生を終えたいと思っています。そして、創業者の導きによってこの領域で学び、仕事をさせていただくことになり、多くの方々とのご縁が出来ましたことを感謝しています。
 時代が変わり、弊社の業態も少しずつ変化して参りましたが、読者・取引先の皆さまには引き続きご支援、お付き合いくださいますようお願い申し上げます。

株式会社 鎌倉新書
代表取締役社長 清水 祐孝