【イベントレポート】おひとりさまの終活に関する不安解消講演会・座談会

2019/06/18

お知らせ


当社は、2019年6月18日に死後の手続きを託す人がいないおひとりさまの終活に欠かせない「葬儀・納骨・死後事務」を生前に一括契約できる「いい生前契約」を提供開始します。

6月11日、本サービス開始を記念して、当社子会社の株式会社ハウスボートクラブが運営する終活コミュニティカフェ「BLUE OCEAN CAFE」にて、身寄りのないおひとりさまと、おひとりさま予備軍の10名が参加し「おひとりさまの終活に関する不安解消講演会・座談会」を開催しました。


<会場>

BLUE OCEAN CAFE

東京都江東区住吉2-2-4


プログラム


【第一部】オープニング座談会


<モデレーター>

株式会社アイディエーション 白石 章兼氏






【第二部】講演会

 

<講師>

キーパーズ有限会社 代表取締役 吉田 太一氏

「遺品整理の現場から学ぶ」





【第三部】座談会+個別インタビュー

【第四部】サービス説明会


身寄りのないおひとりさまの終活の実状


独居高齢者の増加は深刻な社会課題に


2019年5月、当社は身寄りのないおひとりさまのソロ終活の実状を把握するために、60代以上のおひとりさま及び夫婦のみで暮らすおひとりさま予備軍で、いずれも身寄りのない方を対象に調査を行いしました。


少子高齢化が進展する日本において、65歳以上で一人暮らしをする高齢者の単独世帯は26.4%と、実に4世帯に1世帯が「独居高齢者」と言われています。(出典:平成29年 国民生活基礎調査)


中でも、自身の死後を託す人がいない“おひとりさま”や“没イチ”と言われる方の葬送や死後事務処理を誰が担うのかという問題は、深刻な社会課題となっていくことが予想され、「ソロ終活」を支援する仕組みやサービスの充実が不可欠になると考えられます。


必要性や将来への不安は感じるものの進まない終活


調査では、7割以上の方が終活に興味があるものの、実際に準備をしている方はわずか2割程度にとどまっていることがわかりました。

また、5割弱の方がひとりで死期を迎えることに不安を感じており、特に「死後事務」「遺品整理」「金融機関手続き」「不動産売却」などが不安の項目にあげられました。

終活の必要性はわかっているし、ひとりで終活を行うことに不安も感じているが、なかなか準備に取り掛かれなかったり、何から始めてよいかわからなかったり、配偶者がいなくなることが想定できていなかったりということで終活が進まないことが浮き彫りになりました。


これを受け、終活についての考え方や、死後の手続きの担い手がいないことに対する悩みや不安など、身寄りのないおひとりさまの生の声を聞くことで、おひとりさまならではの終活に関する悩みや取り組みなど、おひとりさまのソロ終活の実状を把握したいという思いから、本イベントを開催する運びとなりました。


【第1回】おひとりさまの「ソロ終活」に関する実態調査


【第一部】オープニング座談会



身寄りのないおひとりさまのソロ終活の実状


オープニング座談会では、60代・70代の参加者10名から、互いを知ってもらうためにそれぞれ自己紹介をしていただきました。

死別や離別を経験されて、現在は一人暮らしをしいる方や独身の方、ご夫婦で暮らしている方など境遇はさまざまです。音楽・鉄道模型・登山・パソコン・車・旅行・歴史・ダーツなど定年退職後に趣味を楽しんでおられる方や、97歳と高齢のお母様の介護があり忙しく過ごされている方、奥様をなくされたばかりで何をしたらいいかわからずお悩みの方など、自己紹介を兼ねてそれぞれのライフスタイルについて語っていただきました。


その後、モデレーターの白石氏から「終活」という言葉を知っているかと質問したところ、参加者全員が「知っている」と回答しました。終活への興味について、10名中7名が興味があると答え、その活動状況としては、3名が「興味があり準備している」、4名が「興味はあるが準備はしていない」という結果になりました。


一方で3名が「終活に興味がない」と答えました。その理由として、「死んだらおしまい、周囲に迷惑といっても自分はその場にいない」、「あとは野となれ山となれ」といった意見が出て、会場の笑いを誘いました。

さらに、終活への取り組み状況について聞き進めていくと、終活には興味がないものの、自身が倒れ救急車で運ばれるという危険な状態に陥ったことで、「死ぬ前に会っておきたい人をピックアップして会い始めた」という発言がありました。

終活は「家族に迷惑をかけたくない」という思いが原動力となり始める傾向にありますが、「家族」がいないおひとりさまは亡くなった時の周囲への影響に配慮して終活に取り組むには、何らかのきっかけが必要のようです。


家族の死後事務や相続経験が自身の終活のきっかけに


終活というと、まず身の回りの整理を検討する方がほとんどですが、今回参加いただいた方々の場合、すでに身の回りの整理を始めている方が多くいました。

古い写真をデジタル化し始めている」、「保険とか預金などをリストにしてパソコンに保存した」
「自分が亡くなった時、残される妻と母(女手)だけでは処分が大変そうな、大きめの家電や趣味のものを整理し始めている」

できることから取り組んでいるものの、思い入れが深いため処分できないなど、なかなか進まないというのが実状のようでした。


参加者の中には、さらに上級の終活に取り組んでる方も見られました。

●「父親の相続の時に兄弟で揉めたので、自分のことについては公正証書で遺言書を作った
●「財産をなるべく現金化できるように動いている」
●「孤独死が想定できるので検体する契約をした」
●「親から相続した家は放棄して姉に譲った」

このように、相続や死後の手続きまで踏み込んで終活に取り組まれている方は、ご家族の死や相続を経験された方が多く、過去の経験から終活の必要性や重要性を身をもって体験されていることが見て取れました。


【第二部】講演会



第二部では、「天国へのお引越しのお手伝い」をコンセプトに、東京・名古屋・富山・大阪・福岡・北海道・北九州、韓国に支店を構え、年間1600件に及ぶ遺品整理サービスを提供する遺品整理専門会社であるキーパーズ有限会社代表取締役の吉田太一氏に「遺品整理の現場から学ぶ」をテーマに講演をしていただきました。

多くの人が孤立死をしないようにとの願いを込めて。会社設立以来、全国各地約3万件の遺品整理のお手伝いをしてきた経験から、実際の様子だけでなく、遺された故人の生き様、ご遺族へのメッセージなど、ご遺族の気持ちに配慮し、故人への尊厳をもってご対応してきたことからの学びをお話していただきました。


遺品整理業を始めた社会背景


遺品整理の会社を⽴ち上げる前は、運送業を営んでいました。その時、ある50代の姉妹から引っ越しを依頼されたのが遺品整理業に転じるきっかけとなりました。

姉妹のお宅に伺い、「たんすとソファは私の⾃宅、冷蔵庫と洗濯機は妹の⾃宅へ送ってほしい」などと指⽰されましたが、室内にはまだ⼤量の家財道具が残っている。

聞けば今から処分業者やリサイクルショップを探すというので、「それなら私にお任せいただけませんか」と提案したところ、「本当にいいんですか!神さまみたい」と⼤変喜ばれました。

その後、これは引っ越しではなく亡くなった⽗上の遺品整理だったことに気づき、当時は存在しなかった遺品整理業を仕事にしようと決めました。

なぜ現代社会において遺品整理が必要になったのか?それは、昔は共有財産だった家財道具が、⼀⼈暮らしが増えたことで専有財産になったからです。

家制が崩壊し、別居が⽣活スタイルの主流となったことで、遺品を整理してくれる⼈がいなくなりました。いままで⾝内がやってくれていたことをやってくれる⼈がいなくなったのです。

とはいえ、⼈の意識が簡単に変わるわけではありません。昨今終活が流⾏っていると⾔われますが、あるアンケート調査によると、遺⾔や公正証書の作成、葬儀の依頼など、具体的に動いている⼈は30%程度しかいないという結果が出ました。

⾃分で⽚す物、残す物を整理できないので、弊社のような遺品整理業を必要とする⼈が増えたのです。


DVD視聴 「孤立死 最近、隣人と顔を合わせたのはいつですか?」



妻に先⽴たれた孤次郎は、荒れ果てた部屋で単⾝⽣活を送っている。周囲の⼈を疎んじる孤次郎は、近所付き合いはもちろん、⼀⼈息⼦である悟郎とすら会おうとしない。


ある⽇、部屋の中で急死してしまった孤次郎。3⽇経っても1週間経っても発⾒してくれる⼈はいない。1カ⽉以上経った後、部屋からただよう異臭やハエの多さに近所の⼈が気づき、ようやく遺体が発⾒された。霊となった孤次郎は、近所の⼈々が⾍や死臭に迷惑していたり、悟郎や⼤家さんが部屋の修繕費に頭を抱えたりしている姿を⾒て、周囲に迷惑をかけてしまったと涙を流す……。


ご覧いただいたDVDは、会社を⽴ち上げて2年ほど経ったときに制作したものです。⼤分ショッキングな映像だったと思いましたが、この映像を⾒て意識が変わったという⽅も多い。ぜひ⽇本全国の⽅に⾒ていただきたいと思っています。


男性の単⾝者が孤⽴しやすい理由


DVDの主人公である孤次郎さんは、なぜ社会から孤⽴してしまったのか?そこには、男性ならではの問題が⼤きく絡んでいます。

まず、ひと昔前の男性は「俺は嫁に看取ってもらう」と何の根拠もなく思っていました。だからこそ、いざ奥さんに先⽴たれてしまうとパニックになってしまう。

掃除や料理、洗濯だって、それまで⼀度もやったことがなければ急にできるようにはなりません。

また、男性と⼥性では脳のつくりが違います。⼥性は話せばスッキリするのに対し、男性は⽬的や結論、同調がないと⻑く話を続けられません。

そのため、初対⾯の⼈と何の⽬的もなく会話をするのが難しく、⼈間関係を形成しにくい。「仕事でこれだけのことをやってきた」というプライドも⾼く、⾃分からなかなか「助けて」とは⾔い出せない不器⽤な側⾯もあります。


孤⽴しないように⼈間関係を保つ努⼒を


弊社では年間で遺品整理を1600件以上請け負っています。そのうち、孤⽴死の作業件数は約200〜300件で、約80%を男性が占めます。

「孤⽴死」と「孤独死」という⾔葉あります。もともと孤独死という⾔葉がメディアなどで使われていましたが、私はおかしいなと思っていました。孤独であるなんて誰が決めるんだ、失礼じゃないかと。でも、社会から孤⽴している⼈はたくさんいる。孤⽴すると、亡くなったときに発⾒してもらいにくくなります。だからこそ、孤⽴しないように⼈間関係を保つ必要があります。ある程度の年齢になったら、男性でも周囲の⼈に気にかけてもらえるような可愛げのある存在になるべきです。社会学者の上野千鶴子氏も⾔っていますが、独り⾝になったら、ご近所の奥さんに声をかける勇気を持ったほうがいい。世話好きな⼥性はいくらでもいますから。

*上野千鶴子・・・日本の社会学者。「孤独死なんてこわくない」と孤独死統計の定義変更を提唱している。


⾃分が何歳まで⽣きるのかを仮に決める


⼈間は動物のように死期を悟ることができないので、いつ死ぬかわかりません。だからこそ、死の段取りができない⼈が増えています。ですが、もし仮に来⽉⾃分が死ぬとわかったら、誰でも全⼒で終活に取り組むでしょう。だったら、⾃分が何歳まで⽣きるのかを仮に決めればいいのです。

仮にあと10年⽣きると決めたなら、その間に必要なお⾦を計算し、10年で3分の2のお⾦を使い切ってしまいましょう。

あとの3分の1は、10年以上⽣き延びてしまった時のためにとっておきます。距離と燃料が決まると、おのずとやりたいことの優先順位が決まります。

また、⾃分がやりたいことをやっているとそれを⼈に話したくなり、⼈間関係が途切れなくなります。僕は学者でも先⽣でも何でもありませんが、孤⽴死の現場を数多く経験している⾝として、孤⽴死の現実についてお話をさせていただきました。

今⽇の話をひとつでもふたつでも記憶にとどめていただいて、楽しく⽣きるために役⽴てていただければ幸いです。


【第三部】座談会+個別インタビュー




死んでから思いもよらない人に迷惑をかけることも


第三部の座談会では、吉田氏を交え、孤立死をテーマにしたDVD視聴と講演を聞いて、講演前後でどのような変化があったかを参加者に伺いました。

講演前に「終活に興味がない」と答えた参加者は3名でしたが、その中に講演後に大きく意識が変わったという方がいらっしゃいました。


●「まだ、終活をしようとまではいかないが、いろいろな考え方があって本当に参考になった。しかし、自分の方は両親も兄弟もみんな癌で亡くしている。今の家も妻の名義にしているし、死んだら妻の兄弟がなんとかするだろうと思ってしまう。

●「冒頭で野となれ山となれと言ったが、講演を聞き、動画を見てその考え方がトーンダウンした。周囲に迷惑をかけないように礼儀を果たして全うしたいと思った。俯瞰してみた時に自分がみっともないということがないようにしたい」

終活を行っていないことで思いもよらない周囲の方に迷惑がかかることがあります。まずはそのことを認識することが、終活への第一歩と言えます。


死んだときに誰が自分を発見してくれるのか


他方、すでに終活に取り組んでいる方からは、講演を聞いて、改めて終活や自身の死後について感じたことについてお話いただきました。

身の回りの整理や相続など、自身で準備できる項目はたくさんあるものの、もしもの時に、自分の死を誰に知ってもらうのかは、誰しもが抱える不安であり、解決に向けて取り組むべき課題であることを強く感じるイベントとなりました。


●「我々世代やさらに上の世代は、物に対してもったいないという気持ちが強い。なかなか整理が進まない。この年齢になってくると親子が順番に死ぬとは限らない。ほんとうに整理や準備は必要である。」

●「断捨離を続けている。洋服、食器、本、パソコンのデータ。そして年賀状をやめたりしながら人間関係も整理し始めた。講演を聞いて、人間関係はどんどん整理するのではなくて、気軽な友達を増やしたいなと感じた。」 

●「今までずっと気にしてきたのは残した荷物の行方と、認知症になった時、誰がどこまで世話をしてくれるのかだった。今日みなさんの話を聞いて、公正証書も聞いたことがある程度だし、やることがこんなにあるんだということがわかった。ちゃんと向き合わないといけないと思いました。

●「動画を見て思ったのが、卑屈になってしまうと孤立してしまうということ。こういったイベントも重要な機会です。趣味のものは持っておきたいが、死んだ後には迷惑になってしまうのかもしれない。今日はそういうことを考えるいい機会になった。」 

●「自分に置き換えて動画を見た。マンションでは隣近所と付き合いがない。新聞配達の人が頼りかもしれない。死を誰に知ってもらうのか。姪っ子の子供を妻がかわいがっているので、コミュニケーションを増やそうと思う。」 

●「動画を見てまさに主人公が自分と同じだった。整理なんてどうでもいいと思っていたけど、自分が死んだあとの整理や手続きは本当に必要だと思った。自分の死が誰かに連絡されるようにしておかないといけない。」 

●「財産は全部捨ててきたので気にならない。でも、死んだときに誰が自分を発見してくれるのかは気になる。」 


グループインタビューの後は、個別インタビューに移り、イベントに参加した記者やメディアが参加者に対して質疑応答を行いました。



【第四部】サービス説明会



「いい生前契約」:https://www.e-ohaka.com/seizen/

イベントの最後に、メディアの⽅を対象に、当社が6⽉18⽇より開始する新サービス説明会を行いました。

死後の手続きを託す人がいないおひとりさまの終活に欠かせない「葬儀・納骨・死後事務」を生前に一括契約できる「いい生前契約」は、死後に必要な葬儀やお墓、事務手続きを個別に手配する煩わしさを軽減できるワンストップサービスです。生前に契約しておくことで、亡くなった時に周囲に迷惑をかけるリスクを回避し、おひとりさまが安心して老後・最期を迎えられるようサポートします。



「死」は社会全体で担うべき課題でありその解決が当社の使命


本イベントに参加いただいたおひとりさま及びおひとりさま予備軍の方々は、死後に起こることへの不安を感じているものの、知識不足から十分な準備ができていなかったり、身の回りの整理から始めてみたものの、自分ひとりでは思うように進まないという課題を抱えていることがわかりました。

こと、おひとりさまの終活においては、最低限何が必要なのかを把握する必要があり、周囲とのコミュニケーションを大切にして、孤立しないことで、もしもの時に発見してもらえる環境づくりに元気なうちから取り組んでおくことが重要と言えます。


「死」は家族や親戚だけが担うものではなく、社会全体の問題と捉え、死後の手続きの担い手がいない方も安心して老後・最期を迎えることができるよう取り組んでいくことが、当社の使命であると考え、今後もこのような生の声を聴く機会の創出や新たなサービス開発に向けて取り組むとともに、自治体や民間企業と連携し、業界全体で多死社会におけるさまざまな課題解決に取り組むことを実現したいと考えています。


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