会長コラム“展望”

社会が変化に着目し、新たなビジネスを生み出す

2023/10/02

ビジネス

社会が変化に着目し、新たなビジネスを生み出す

最近、ドル高円安の基調がじりじり強まっているようだ。識者の解説によると、アメリカの景気が想定以上に好調を維持し続けるとの見通しであることから、日本の日銀にあたるFRBは上げ続けてきた金利を当分は下げることが難しい、つまり金利の高止まりが長く続くであろうということだそうだ。いっぽうで日本についてはゼロ金利政策の解除が当分難しいという見方が大勢とのこと。結果として日米の金利差は開いたまま、このような状況を背景に、ドル高円安傾向は当分続く見通しがもっぱらだのようだ。そういえば、先日のニュースで三井住友銀行がドル建ての定期預金を利率5.3%で販売するというニュースがあった。日本円の1年定期預金の金利はほぼゼロだから、これを知った人は、雪崩を打ってドル定期に預け替えるのではないだろうか。メガバンクの影響力はとてつもなく大きく、他行も追随する可能性は高いわけだし。もちろん円高になってしまうと(円ベースでは)目減りしてしまうという為替のリスクはあるものの、利率の範囲内の円高であれば損はない。こうして円をドルに換える動きが増え、その影響もさらなるドル高円安に寄与するのかも知れない。


さて、この話は日本とアメリカの金利差に着目しての為替予測であるが、素人考えでは為替レートに影響を与える要因としてはもっと長期的なものもあるように思う。人口が増え続け、適度な経済成長を続け、それが続くとの見通しがあり、財政も健全かどうかはともかく、政策に一定の規律が掛かっていて、技術革新の最先端にあり確固たる産業基盤を有する国(アメリカ)と、人口が減り続け高齢化が進み、(その背景もあって)低成長が続き、財政も不健全で規律が掛かっておらず、産業基盤が製造業中心の将来に不安のある国(日本)。このように大きな視点、長期の時間軸で考えてみると、長い目で見てもドル高円安の基調は続くのではないかと想像してしまう。


もちろん、ここで為替の予測をしたいわけではない。長期的に考えてどんな巨大なトレンドが流れているのだろうか、これがとても重要なことではないかといつも考えているということが言いたいわけ。社会に大きなインパクトを与えるメガトレンドは何か、というが常に私の最大の関心事なのである。


おおよそ25年ほど前、インターネットは将来に向けてどんどん発展し、社会における情報伝達のあり方を大きく変えてしまうメガトレンドではないかと考えた。そこで出版というビジネスの将来性と、インターネットの可能性を天秤にかけ、後者の方にかじを切った。もちろん今日のようにスマートフォンを誰もが所有し、これが生活に必要欠くべからざるものになるなんて全く想像もできなかった。つまり変化の細部は分からなかった(というか誰にもわからない)が、インターネットが社会における情報伝達のあり方を大きく変えたこと、つまり大枠はその通りになった。


例えば、事業承継のこと

少子化が進み、家族関係が変わり、個々人の自由な考えが許容されるようになると後継者難が起こる。これも日本社会のメガトレンドである。20年前には他人に事業を承継してもらうというM&Aの需要は大きくはなかった。それが社会の変化で大きく変化し、今やM&Aの仲介するビジネスは大きな飛躍を遂げている。近年この領域では、多くの会社が上場するなどし、社会の変化から生まれたニーズを満たすと共に、大きな収益を生み出している。


例えば、保険のこと

高齢化、少子化が進み、家族関係が変化する。そんな中で人びとの生き方が多様化し、並行して人生におけるさまざまなリスクも多様化する。そのニーズに応えてさまざまな新たな保険が生まれてきた。細分化したニーズを適切に消費者に届けるため、保険の販売チャネルも多様化した。保険会社の営業職員がもっぱら売っていた時代、理論武装したFPが売っていた時代、そして今日ではプッシュ型ではなくプル型の保険ショップも当たり前の販売チャネルになった。20年前にはほとんど存在していない販売形態であった。その頃は誰もそんなチャネルで保険が売れるとは思っていなかったのだ。今日、保険ショップは駅前の繁華街にも、郊外のショッピングセンターにも保険を販売する店舗は必ずある。


高齢社会がますます進展する、これは間違いない。そんな中で社会にどのような変化が起こり、結果としてどのようなニーズが新たに生まれ、あるいは巨大化するのか。わたしたちはそこを考え続けている。それは相続や保険、不動産のようなお金のことや、医療や介護のような身体のこと、そして葬儀やお墓など心のことなど多様である。事業承継や保険と同様に、これらの拡大する課題の解決のためには新たな巨大なチャネルが生まれることは間違いない。私たちは潜在的で巨大な需要に対して新たな価値を必ず提供できるものと考えている。


株式会社鎌倉新書
代表取締役会長CEO 清水祐孝